古椅子のビフォーアフター(前半)

かれこれ古椅子のリペアを初めて10年以上、、小さい物から大きい物まで失敗も繰り返してきてようやく理想の椅子が生まれ始めました。オーダーで無垢の家具や椅子の製作しておりますが、元々はフラッシュ家具(張り合わせの現代家具)の木工所で10年ほど個人で雇ってもらい副業で始めた古金物、古家具業。仕事の昼休みや仕事後には古家具をばらしたり組み立てたり、作りや昔のデザイン等、古家具に教わってきました。未だに教わることも沢山あります。今回は椅子のリペアの記事になります。

どこからともなく、つむぎ商會に集まってくる古い椅子たち。椅子の中でも手ごわいやつらです。

大体こんな感じのボロボロでやってきます。この椅子は中のバネが落ちてる状態でもう少しで座ったらズドンと行きそうですね。

手すりが細身で美しいフォルムのいす。この時代の一人掛け椅子の素材は楢材が殆どです。

業界でわドクターチェアという名称。回転して高さ調整できますが回転軸が鉄鋳物で、できておりここのパーツがしっかりしてるかが仕入れのポイントです。軸の付け根がグラグラしてたり、ネジ山がすり減ってたりすると直すのは困難です。鋳物の為、溶接も難しく、でも捨てるのはもったいないので座面だけ取って残してたりもします。

昔はそのまま張屋さんに持っていってたのですが、剥がしからしてもらうと価格も高くなり補強まではしてくれないので生地の剥がし、釘抜などは全て自社でしております。

生地をめくると大体こんな感じです。藁や薄いスポンジが何層にも入ってます。

藁やスポンジの除去後。スプリングバネが縛られて吊られてあります、この紐が切れて座面が落ち込むことが古い椅子にはよくあります。最初はこのバネの感じが昔ながらの座り心地でバネを新しく吊ってもらってましたが、長くご使用になると同じ現象が起こりえるので今は全てウレタンスポンジ使用にしております。なのでこのバネもすべて取り除いて捨ててます。バネ欲しい方、差し上げます。(年間100~200個は出ます)

椅子の裏側、バネを支えてる帯。劣化して切れてる状態。

ドクターチェア裏側、すべてめくります。4本の足もガタツキがあるためネジを外しばらします。

ホコリもすごく、ゴミも大量にでます。ここからが大変な釘抜作業。抜ける釘は張り屋さんが作業に取り掛かりやすいようにすべて抜きます。

張り屋さんからしたらそこまで抜かなくていいよってとこまで気持ち悪いんで撤去します。この手の椅子で200~300本はあります。それ以上かもです、、、

ホームセンターに行くといつもいいペンチが無いか見てしまう、職業病。最近であったお気に入り、刃の角度が鋭利でサクサク抜けます。跳ね返ってくる真ん中にバネがついてる物がお勧めです。

綺麗になりました、代償で手は野球部なみの豆だらけ、、。

4脚古い生地のめくりが完了した状態、なんか散髪されてすっきりした佇まい。これから塗装を剥がして行きます。作業開始から生地も張りあがって完成までは椅子にもよりますがこの手の椅子で2~3ヶ月ほどかかります。塗装の剥がしは中編にて。

つむぎ商會では古い物全般買取しております。古家具、骨董品、古い商店の在庫品・什器、その他ジャンルを問わずです。古い家の残置物撤去などもお困りの方ご相談ください。

PAGE TOP